副業(サイド・ハッスル)専門メディア

2017.07.26 インタビュー

本業との線引き「副業は所得水準を高めるためのもの」

view 1,651

今回のインタビュー相手は、著名なベンチャー企業でエンジニアとして働く松本さん(仮)。これまでのインタビューでは、本業で補完できないスキルを補うという目的で副業をしている話を聞いていたが、松本さんは本業での成長環境に非常に充実しているケースであった。そんな松本さんがなぜ副業を始めようと思ったのか。現在の職場に特に不満が無い人に是非読んでいただきたい内容である。

松本さん(仮名)

国立大学を卒業後、ベンチャー企業にエンジニアとして就職。 同社が運用する複数のWEBサービスの開発・運用に携わっている。

fotogestoeber/Shutterstock.com

「収入を増やしてみよう!」単純な動機で始めた副業

本日はよろしくお願いします。早速ですが、松本さん(仮名)は、本業ではどのようなお仕事をされているのでしょうか?

松本 よろしくお願いします。本業ではベンチャー企業でシステムエンジニアとして働いています。もう少し具体的にお話しすると、自社で運用している複数のウェブサービスの新機能開発であったり、サービス運用保守などを行っています。今は技術責任者直下のプロジェクトにアサインされており、複数のエンジニアと共に働いています。

業務時間や働き方はどのような状況でしょうか?

松本 私は9時半ごろに出社し、19時には帰るという生活をしています。昼前に出社し、私より早く帰る同僚もいます。働き方の自由度はかなり高いと思います。成果を出していれば別に構わない、という社風であると思います。

同僚はなかなかのツワモノですね(笑)会社には副業に関するルールはありますか?

松本 副業は原則禁止されていませんし、特段届け出をする必要もありません。ただ、複数社と雇用契約を結ぶことは禁じられており、あくまで本業優先という暗黙のルールはあります。また、自社の競合となるような副業は禁止されています。副業をやることに関する自由度もかなり高いと思います。

なるほど。松本さんは副業では何をやっているのですか?

松本 副業は最近始めたばかりなのですが、①プログラミング教室の講師、②システム開発の2つをやっています。①は自分には合っていないようなので、今後は②をメインでやっていきたいと思っています。

松本さんが副業を始めた理由はどのようなものでしょうか?

松本 単純に収入を増やしてみよう!と思ったからです。エンジニアの友人同士で話をしていると、副業をしている仲間が何名かいました。自分も始めてみようかと思っていたところ、ちょうどスクールの話を耳にしたり、知り合いから開発の仕事の依頼が来たりしたもので。

本業ではできない仕事を副業で経験していきたい

松本さんは本業と副業をどのように棲み分けていますか?

松本 本業はIT系のベンチャー企業で、受託業務ではなく自社サービスを運用している会社です。ビジネスサイドの担当者がシステム開発に関しても深い知見を持っているため、エンジニアにとって非常に働きやすい環境だと思います。技術レベルの高いエンジニアが多く、刺激的な職場です。したがって、エンジニアとしてのスキルアップは本業で十分可能なため、私にとって副業は単純に所得水準を高めるためのものと言えます。

それは非常に珍しい職場ですね。世の中、システム開発はどこもかしこも炎上しているイメージがあります。

松本 そういう意味では、世の中のシステム開発の仕事がどれほど炎上しているのか、副業はその現実を知るきっかけになりました。システム開発は何か目に見える物があるわけではなく、イメージを形にしていく仕事です。世の中に、こうした業務で困難な状況にいる人は、自分が想像しているより遥かに多いのだろうと感じます。

松本さんは今後、どのような働き方をしていきたいと思っていますか?

松本 本業が非常に充実しているので、これからも本業で知的好奇心を刺激し、スキルアップしながら生活基盤を整えたうえで、副業では、本業でなかなか経験できない他業界の仕事や、一緒に働いたことがない人と働くような仕事を経験していきたいと思っています。

本日はありがとうございました。

本業に満足している場合でも、副業に取り組むことで新しい発見が得られることに疑いはない。1社のみで働いているとどうしても視野が狭くなり、その会社でしか通用しない常識に縛られて、結果的に人材としての価値を落としたり、身動きが取りにくくなったりする可能性がある。自分の状況や職場環境を客観的に評価する視点を持つためにも、副業は有効な手段といえるだろう。

この記事を読んだ方は、

正直、副業は大変!だからこそプロとして成果を出すチャンス

も読んでいます。

この記事を読んだ方は、

本業との線引き「副業は所得水準を高めるためのもの」

も読んでいます。

EDITOR

編集者
片倉 健

片倉 健

株式会社ビタリー
取締役マネジングディレクター

慶應義塾大学経済学部卒。経営コンサルティング会社アクセンチュア(戦略グループ)、経営支援・M&Aアドバイザリー会社フロンティア・マネジメントを経て、ビジネス書要約サイト『flier』を運営するフライヤーを共同創業。同社CMOとして法人営業、ユーザー獲得、出版社とのアライアンス交渉といったマーケティング戦略全般を担当。

同社退職後、株式会社ビタリーを共同創業。新規事業戦略のコンサルティング案件を全般的に担当するほか、副業(サイドハッスル)にフォーカスした『cyha.jp』を統括。これまでに数十件の新規事業開発案件を担当。アクセンチュアでは、主に国内金融機関に対する、ビッグデータ解析、マーケティング戦略立案、オペレーション改革、リスクマネジメント案件、基幹システム開発等に従事。フロンティア・マネジメントでは、複数の小売企業の企業再生案件、新規事業案件等に従事。

専門領域は業種業態を問わず、先端テクノロジーを用いた新規事業開発。事業戦略の構築から、マーケティング戦略の立案、システム開発、オペレーション構築、管理会計整備に至るまで、幅広い分野に精通。日経BP未来研究所『新規事業創造塾』専任コーチ。趣味は読書とゴルフ。

©2017 Vitaly inc. All Rights Reserved.