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2017.07.11 インタビュー

副業は投資できる時間との勝負 「時代を読む」コンサルタントの視点

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今回のインタビュー相手は、外資系コンサルティングファームに勤める山本さん(仮名)。外資コンサルといえば、非常にハードワークな環境をイメージする方も多いだろう。ホワイト化が進展しているとはいえ、一般の事業会社よりも忙しいのは間違いない。そんな環境下で、山本さんは副業を始めて3ヶ月程度でコンスタントに30万円程度(ほぼ利益)を月に稼いでいるという。山本さんは一体何をしているのか?多忙なビジネスパーソンにとって参考になる事例と言えるだろう。

山本さん(仮名)

理系国立大学を卒業後、外資系コンサルティングファームに就職。主に新規事業戦略を担当している。

Pressmaster/Shutterstock.com

副業開始3ヶ月で広告収入30万強を実現

本日はよろしくお願いします。早速ですが、山本さん(仮名)は、本業ではどのようなお仕事をされているのでしょうか?

山本 本日はよろしくお願いします。本業では外資系コンサルティングファームで経営コンサルタントをやっています。今メインで担当しているのは、大手金融機関をクライアントとするデジタル系の新規事業開発プロジェクトです。

なんとも今風な案件ですね。山本さんは副業では何をやっていますか?

山本 副業では、先端テクノロジー系のブログメディアの運営を行っています。

外資コンサルって忙しいイメージあるじゃないですか?副業する時間なんてあるんですか?

山本 コンサルの働き方も随分と変わってきておりまして、昔のように毎日遅くまでという労働環境ではなくなってきていると思います。とはいっても、一般的な事業会社よりは忙しいのでしょう。そこでコンサルタントの副業は投資できる時間との勝負になります。平日少しの時間と、土日が副業に充てられる時間になります。

ブログと聞くと競合が多そうですが稼げるのでしょうか?

山本 まだ始めて2~3ヶ月ですが、広告収入だけで月30万円強はコンスタントに入ってきます。広告収入以外にもいろいろな仕事のお話を頂くようになったのですが、職業柄やりにくいことも多くて。

その速度はすごいですね!どうやって始めたのでしょうか?

山本 ご指摘の通り、普通にブログを始めても、はるか昔からSEO対策を入念に行ってきたブロガーやアフィリエイターには勝てません。特に『FX』や『保険』など収益性が高いテーマはやりつくされており、私のような新参者が参入して勝てる領域ではありません。だからと言って、自分の興味が無い分野でチャレンジをしても、なかなか続かないと思います。

テーマを選ぶ上で重要なことは、自分の興味がある分野で、かつ競合がいない領域を探すことです。ここまでは、よく本にも書いてある内容でしょう。そこで私がどのようにその領域を見つけたかということですが、それは『時代の一歩先を読み、半歩先に仕掛ける』という手法です。ブログの例でいえば、『まだ検索されていないが、これから皆が検索する領域を探す』ということです。この領域はプレーヤーがそもそもいないので、私のようなIT素人でも、それなりに勝てるわけです。

とはいえ『言うは易く行うは難し』だと思うのですが、山本さんはなぜそんなことができるのでしょうか?

山本 職業柄、業務時間外でも日々大量の情報をインプットしています。私は国内外の数十を超えるメディアに毎日目を通しています。そうした情報に日常的に触れ、かつ経営コンサルタントの実務で鍛えた大局観を以てすれば、直近の社会の変化を予測することは可能になります。それ相応の努力は必要ですが、少なくとも私と似たようなプロフェッショナル業界にいる人物であれば、不可能な話ではありません。

副業の価値は金銭ではなく、新たな情報と人間関係

まさに『言うは易く行うは難し』ですね。副業を始めて良かったことはなんですか?

山本 周りに面白い人が増えました。こうした活動をしていると、感度の高い人物から声がかかることが多いです。国内だけではなく、国外の人間関係も増えました。私は定期的にシンガポールやドバイなどに訪問しています。こうした人間関係から得られる情報は、まだメディアでは語られていない新しい内容が多く、私にとって非常に大きな刺激になっています。

同僚を見ていると、会社に閉じこもっている人が多く、話していて面白くない人が多いなぁと感じます。私がブログを始めたことで得られた本当の価値は、決して金銭などではなく、全く新しい情報と新しい人間関係だと思います。得られた金銭は交流会や海外渡航費などに充当できるので、フットワークもかなり軽くなりました。

また、コンサルティング会社と言えど、上司はいますので、本当の意味でプロジェクトの全てを自分でコントロールする経験はまだ先の話になります。副業の責任者は私になりますので、いいトレーニングになると思います。こうした視点から捉えると、ブログ運営は少額の投資で始められる実践型の研修プログラムと言えます。私としては、「なんでみんなやらないのか?」と思うくらいです。

システム開発などにハードルがあるのではないでしょうか?

山本 今の社会は進歩しており、素人でもブログサイトくらいであれば簡単に構築できてしまいます。私もシステム開発の経験はありませんでしたが、自らサイトを構築しました。運用に係わる原価は月額1,000円もしないくらいでしょうか。私の投下工数を加味しても、極めて高い収益性だと思います。さらに、こうして得た知見は、コンサルタントとしての価値も確実に高めると思います。

ブログ運営ならではの得られたスキルはありますか?

山本 文章を書くことでしょうか。言いたいことを言語化することは思ったよりも難しいことです。職業柄パワーポイントを使うことは多いですが、スライド内のキーメッセージやタイトルを考える業務は、ブログのタイトルや記事を書くことと非常に似ています。ブログはアクセス数や売上など定量的な成果が見えやすいので、PDCAを回してライティングスキルを高めています。

副業って、まだネガティブな捉えられ方がされがちであると思いますが、そのあたりはどのように考えていますか?

山本 近い将来、会社に依存している人よりも、副業をして会社から自立している人材が評価されるようになると思っています。「定時ピッタリに退社し、その後は副業!」というビジネスパーソンこそが、優秀な人材であると言われる論調です。

世の中は、無駄な会議、無駄なメール、無駄な電話に溢れています。副業熱心な人はそんな無駄な時間に付き合っている暇はないので、本業においても徹底的に生産性を向上させるでしょう。私はそうなることを見越して、今を一生懸命に生きています。

ありがとうございました。

外資コンサルの人は、やはり仕事が早いし効率的に物事をこなすなぁという印象を受けた。世の中の流れから未来を予測し、未来のキーワードに仕掛けるというのは成功法則として当たり前といえば当たり前だが、実現するのは相当にハードルが高い。山本さんは現在、さらにいろいろなことを仕掛けているらしい。本業の外資コンサルの報酬を副業が上回ってしまう日も近いのではないか。器用で賢い人は投資より事業の方が効率的に稼げるのだろう。

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EDITOR

編集者
片倉 健

片倉 健

株式会社ビタリー
取締役マネジングディレクター

慶應義塾大学経済学部卒。経営コンサルティング会社アクセンチュア(戦略グループ)、経営支援・M&Aアドバイザリー会社フロンティア・マネジメントを経て、ビジネス書要約サイト『flier』を運営するフライヤーを共同創業。同社CMOとして法人営業、ユーザー獲得、出版社とのアライアンス交渉といったマーケティング戦略全般を担当。

同社退職後、株式会社ビタリーを共同創業。新規事業戦略のコンサルティング案件を全般的に担当するほか、副業(サイドハッスル)にフォーカスした『cyha.jp』を統括。これまでに数十件の新規事業開発案件を担当。アクセンチュアでは、主に国内金融機関に対する、ビッグデータ解析、マーケティング戦略立案、オペレーション改革、リスクマネジメント案件、基幹システム開発等に従事。フロンティア・マネジメントでは、複数の小売企業の企業再生案件、新規事業案件等に従事。

専門領域は業種業態を問わず、先端テクノロジーを用いた新規事業開発。事業戦略の構築から、マーケティング戦略の立案、システム開発、オペレーション構築、管理会計整備に至るまで、幅広い分野に精通。日経BP未来研究所『新規事業創造塾』専任コーチ。趣味は読書とゴルフ。

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