
2017.07.11 インタビュー
副業するなら高付加価値・高単価を目指すべき

高橋さん(仮名)
私立大学卒業後、東証一部上場企業に就職。本業で営業・企画系の業務を行う傍ら、副業で大規模なシステム開発案件を受注。

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若いうちはもっと働きたい!副業は願望を叶える手段
本日はよろしくお願いします。早速ですが、高橋さん(仮名)は、本業ではどのようなお仕事をされているのでしょうか?
高橋 本業では、事業企画の部門にいます。当社の新製品のマーケティング上の課題解決が主たる業務内容となります。当社はBtoB系のプロダクトを扱っており、大企業から中堅企業まで様々なクライアントを抱えています。私自身は基本的には社内にいることが多いですが、営業マンに同行したり、外注先に訪問することも週に1、2度はあるといった具合です。
労働時間的な側面での働き方はどのようなものですか?
高橋 当社は『超』がつくほどのホワイト企業です。9時半出社、18時前後退社というのが、本業で働いているコアタイムとなります。これくらいの時間だと、あっという間に過ぎてしまうので、私としては少々物足りないくらいです。若いうちはもっと働きたいと思っています。
忙しくて有名な会社かと思っていましたが、最近は違うのでしょうか?
高橋 部署によるとは思いますが、私の部門はすこぶるホワイトですね。入社1年目で営業部門にいたときは、今よりも多少遅くまで働いていましたが、事業企画に移ってからは、業務難易度は高まりましたが、時間には余裕ができました。
もちろん、企画業務は凝れば凝るほどに何時間でもできてしまうという側面もありますが、私の所属している部署は、残業にはかなり厳しい方だと思います。
高橋さんが副業をしようと思ったキッカケを教えてください。
高橋 先ほどもお話しいたしましたが、入社1年目は営業部門に配属になりました。特段営業が嫌いだったというわけではないのですが、学生時代からアルバイトで法人営業の経験がありましたので、私としては事業を作る経験を早くしてみたいという願望が強くありました。こうした願望を達成するために、入社2年目から副業を始めました。
高橋さんは、副業でどのようなことをやっているのですか?
高橋 WEB制作やシステム開発の受託をやっています。私はエンジニアではありませんので、実際にコードを書く業務は外注しています。クライアントのIT課題のヒアリングからソリューションの提案、実際につくるWEBやシステムの要件定義、納品までのプロジェクトマネジメントまでを私が担当しています。
どのような経緯でそれらの仕事をゲットしたのでしょうか?
高橋 たまたま知り合いと食事をしていたら、その知り合いから「これウチのサイトなんだけど、どんな課題がある?」と聞かれたのが始まりです。私は学生の頃にWEB関連のアルバイトをしていた経験があり、一般的な人よりはIT領域に知見がありました。その知見を活かし、サイトから見て取れる課題と解決策を提言したら、「じゃあ、作ってよ!」という形で私の副業プロジェクトが始まりました。
自己成長のために副業する、という考え方
実際に副業を始めてみて、どのような苦労がありましたか?
高橋 一番困ったのは、契約関係と価格交渉業務です。契約書の締結は本業で上司がやっているのを横で見ていたことがある程度で、実際に自分で印鑑を押したのは初めてでした。契約内容にリスクが無いか、専門家に問い合わせをするなどして徐々に作法を学んでいきました。価格交渉に関しては、いったい相場がいくらなのか、先方の予算がどの程度あるのか、コンペ相手はいくらを提示してくるかなど、実務ではまだ考えたことが無いことばかりで、非常にいい経験をしたと思っています。
トラブルには見舞われましたか?
高橋 システム開発ではよくある話かもしれませんが、開発要件を初期段階で詳細に握ることは難しいので、予想よりも工数が発生し、収益がうまく得られなかったことがあります。こうした経験を踏まえて、今では当初よりはうまくやっていると思います。
本業とのバランスはうまくとれましたか?
高橋 ミーティングはスカイプとチャットを使って、業務時間外に行っていました。本業の企画業務は繁忙期と閑散期が読みやすいこともあり、まずは定量的に成果の出しやすいものから順番に本業を片付けて、その後に副業を行うという生活サイクルを整えていきました。
高橋さんは副業を始めてよかったと思いますか?
高橋 よかったと思います。副収入があって嬉しいというよりは、自分が身に付けたかったスキルを主体的に獲得できている感覚があることが喜びです。戦略構築から実際にサービスを運用するという経験を20代のうちにできて本当に良かったと思います。もし本業の会社でこれを経験するのであれば、10年目を超えなければ任せてもらえません!自己成長のために副業するというのが、私の副業に対する考え方です。
本業への良いフィードバックはありますか?
高橋 まだ目に見えて実感はできていませんが、やれる仕事の幅は確実に広がりました。自分ができることと社内からの評価が一致しないことが悩みです。上からは「お前にはまだ任せられない」と言われますが、私からすれば副業で既にやったことがある業務だったりもします。少しずつ社内でも実績を出していき、社内でも信頼を獲得していきたいと思っています。
これから副業にチャレンジしたいと思っている方に一言お願いします。
高橋 「安売りするなら、本業をやれ!」と思います。どうせ副業をやるなら、本業で自分が出している価値よりも、高付加価値で高単価な仕事をするべきです。よほどお金に困っている場合を除き、誰でも時間さえあればできる単純労働をわざわざする必要はないと思います。そういう意味では、自分のスキルと社内からの評価が一致していないと感じる人は積極的に副業をやって、自分のスキルを試してみればいいと思っています。
最後に、今後のキャリアはどのように考えていますか?
高橋 実は、本業一本に打ち込める環境で働きたいというのが本音のところです。社内でホワイト化が進み、私の会社では長時間働くことができなくなりました。あまりにも担当の仕事が早く終わるので、他部署の仕事を巻き取って働こうとしました。すると、上長から「それはするな」という指示が来ました。今の会社は好きですし、得られるものも多くあります。しかし、もっと働いて早く成長したいという願望は本業では消化しきれません。本業と副業のバランスを取ることでその欲をカバーしてきましたが、そろそろ本気で何かに打ち込みたいと思っています。
ありがとうございました。
EDITOR
編集者

片倉 健
株式会社ビタリー
取締役マネジングディレクター
慶應義塾大学経済学部卒。経営コンサルティング会社アクセンチュア(戦略グループ)、経営支援・M&Aアドバイザリー会社フロンティア・マネジメントを経て、ビジネス書要約サイト『flier』を運営するフライヤーを共同創業。同社CMOとして法人営業、ユーザー獲得、出版社とのアライアンス交渉といったマーケティング戦略全般を担当。
同社退職後、株式会社ビタリーを共同創業。新規事業戦略のコンサルティング案件を全般的に担当するほか、副業(サイドハッスル)にフォーカスした『cyha.jp』を統括。これまでに数十件の新規事業開発案件を担当。アクセンチュアでは、主に国内金融機関に対する、ビッグデータ解析、マーケティング戦略立案、オペレーション改革、リスクマネジメント案件、基幹システム開発等に従事。フロンティア・マネジメントでは、複数の小売企業の企業再生案件、新規事業案件等に従事。
専門領域は業種業態を問わず、先端テクノロジーを用いた新規事業開発。事業戦略の構築から、マーケティング戦略の立案、システム開発、オペレーション構築、管理会計整備に至るまで、幅広い分野に精通。日経BP未来研究所『新規事業創造塾』専任コーチ。趣味は読書とゴルフ。
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