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2017.08.02 インタビュー

正直、副業は大変!だからこそプロとして成果を出すチャンス

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今回のインタビュー相手は、スタートアップでエンジニアとして働く山崎さん(仮)。非常に器用な人物で、スタートアップでマネジメント業務をこなす傍らで副業もさばいている。「エンジニアは副業をするべき」と語る山崎さんは、技術者という視点だけではなく、経営者的な視点も持ち合わせている希少な人物だ。エンジニアとして働く若手層には是非読んでいただきたい内容である。

山崎さん(仮名)

私立大学文系学部を卒業後、大手IT系企業にエンジニアとして就職。 同社の複数のサービス開発に携わった後に、創業期のスタートアップに転職。

正直、副業は大変!だからこそプロとして成果を出すチャンス

ESB-Professional/Shutterstock.com

強い関心がなければ副業は続かない

本日はよろしくお願いします。早速ですが、山崎さん(仮名)は、本業ではどのようなお仕事をされているのでしょうか?

山崎 よろしくお願いします。本業ではIT系ベンチャー企業でエンジニアをやっています。エンジニアといっても、最初はコードを書いていましたが、今ではエンジニアチームのディレクションがメインの仕事となります。イメージが湧きにくい人もいるかと思いますので、もう少し細かく言うのであれば、ビジネスサイドの要望をヒアリングし、今後の開発の拡張性を考慮してシステム設計に落とし込むこと、開発全体の工程やメンバーの管理を行うマネジメント業務が主業務となります。

なるほど、希少性の高い仕事領域ですね。副業ではどのような仕事をやっていますか?

山崎 今は本業が忙しいのでやっていませんが、少し前まではシステム開発の案件を副業として行っていました。本業が9時半~20時くらいというのが通常期の業務時間なのですが、今はそれより遅いので…。

副業を始めた経緯を聞かせてもらえますか?

山崎 1社目は大手IT企業にエンジニアとして就職しました。そこでは、面白い仕事もあれば、サイトのメンテナンス業務等の単純な作業もありました。この会社は副業が禁止されていたため、実務以外で新しいスキルを身に付けるのは非効率でした。転職して2社目の現在の職場は、副業が禁止されていないため、副業を始めたという経緯です。

仕事はどこから取ってくるのでしょうか?

山崎 エンジニアへの仕事依頼は自然と結構来るものです。感度の高いビジネスサイドの人と食事をしているときに依頼されることもあれば、知り合い伝手に仕事が来ることもあります。私は一般的なエンジニアよりもビジネスサイドに興味があるため、システムに関する知見がそこまで高くないビジネスサイドの人でも、話しやすいのかもしれません。

引く手あまたというのは理想的ですね!山崎さんは取る仕事、取らない仕事に何かルールはありますか?

山崎 『自分の興味のある分野』『新しい技術を使う分野』であるか否かでしょうか。日常業務を抱えている中で、新たに別の仕事をやるというのは非常にストレスが高いことです。これはビジネスサイドでも同じだと思いますが、例えば消費財企業の新規事業戦略を責任者として練った後に、同じ日に自動車業界のコスト削減を細部まで担当すると聞くと大変ですよね。

このストレスの高い業務をわざわざやるためには、報酬面での納得感も大事ですが、何よりもその新しい分野への強い関心がなければ、そもそも続きません。これを乗り越えるからこそ、より早い成長が実現できるのだと思います。正直言って副業は大変です!私はつまらない単純作業は引き受けないようにしています。

エンジニアは副業した方がいい!

それで強くなったら、それより重たい仕事がやってくる…その繰り返しになりそうですね(笑)山崎さんは、副業をやってよかったと思いますか?

山崎 私は元来飽きっぽい性格ですので、1年くらい特定の分野の仕事をやると、すぐに飽きてしまいます。言うと感じ悪いかもしれませんが、80点くらいであればすぐに取れるようになってしまいます。次へ次へと関心が移りやすいタイプですので、副業はその好奇心を満たしてくれるツールと言えます。

そして私は、「エンジニアは副業したほうがいいよ!」と言いたいのです。その理由として、一つは先ほどお話しした通り、副業を新しい技術を身に付ける場とすることで、早い成長を遂げられること。もう一つは、決められた時間内で成果を出す集中力とマネジメント能力を鍛えられることです。Facebookを見ながらダラダラ仕事をするのは良くないので、時給いくらと設定して、プロとして成果を出すいい機会だと思います。

山崎さんは今後どのような仕事をしていきたいですか?

山崎 私は今後、社会におけるエンジニアの価値を高める活動をしていきたいと思っています。企業の中には非効率な点がいくつもあります。単純なデータ入力業務や集計業務など、人がわざわざやらなくてもいい仕事が山ほどあると感じています。しかし、システムに関する知見が無い人は、そこに解決策があると想像すること自体が困難であり、非効率な投資をしていることに気がついていません。技術で何ができるのか、世の中にもっと知ってもらうことがエンジニアの価値を高めることにつながると思っています。

また、ビジネスサイドとエンジニアの懸け橋となるような人材を、もっと多く生み出すことができないか、思考を巡らせています。そういった意味で、開発者として本業をこなしているエンジニアには是非、ディレクション要素の強い副業をやることをお勧めします。もちろん逆でも構いません。ディレクションが本業なら、開発スキルを副業で磨くというのもいいと思います。

そして、個人的には経営層や経営層に近いビジネスサイドの技術面での壁打ち相手となるような副業にチャレンジしたいと思っています。

あ!それ欲しいです!

山崎 ビジネスサイドの人の多くはサービスの企画は得意でも、テクノロジーを利用して、それを具体的にどのように実現するかという設計に落とし込むことまでを得意としている人はなかなかいません。そうした人たちのディスカッションパートナーとして、支援することを副業としたいと思っています。

その手の仕事があったら、紹介しますね!本日はありがとうございました。

山崎さんは、非常に俯瞰的な視点から「エンジニアの役割とは何か?」を追究しているように思われる。ビジネスとエンジニアのブリッジ人材の役割や、ビジネス側のデジタルリテラシーをどのように補完するべきかなど、今後ますますデジタル化が進む社会において、論点となる箇所を副業を使いこなすことによって研究しているようにも思われる。私も一経営者として、そういった視点を持ち合わせた人材が必要だと感じている。エンジニアの皆さんには是非、副業に取り組みながら、新しい役割を模索してほしい。

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EDITOR

編集者
片倉 健

片倉 健

株式会社ビタリー
取締役マネジングディレクター

慶應義塾大学経済学部卒。経営コンサルティング会社アクセンチュア(戦略グループ)、経営支援・M&Aアドバイザリー会社フロンティア・マネジメントを経て、ビジネス書要約サイト『flier』を運営するフライヤーを共同創業。同社CMOとして法人営業、ユーザー獲得、出版社とのアライアンス交渉といったマーケティング戦略全般を担当。

同社退職後、株式会社ビタリーを共同創業。新規事業戦略のコンサルティング案件を全般的に担当するほか、副業(サイドハッスル)にフォーカスした『cyha.jp』を統括。これまでに数十件の新規事業開発案件を担当。アクセンチュアでは、主に国内金融機関に対する、ビッグデータ解析、マーケティング戦略立案、オペレーション改革、リスクマネジメント案件、基幹システム開発等に従事。フロンティア・マネジメントでは、複数の小売企業の企業再生案件、新規事業案件等に従事。

専門領域は業種業態を問わず、先端テクノロジーを用いた新規事業開発。事業戦略の構築から、マーケティング戦略の立案、システム開発、オペレーション構築、管理会計整備に至るまで、幅広い分野に精通。日経BP未来研究所『新規事業創造塾』専任コーチ。趣味は読書とゴルフ。

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